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運営顧問による点検評価 分子研リポート2005 | 分子科学研究所

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Academic year: 2018

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点検評価と課題 319

4-4 運営顧問による点検評価

4-4-1 小間 篤運営顧問

分子科学研究所への提言

分子科学研究所(以下分子研と略す)の運営顧問会議のメンバーの一人として,提言をさせていただく。以下にも 述べるが,国立大学並びに大学共同利用機関の法人化とともに,日本の学術研究,高等教育のあり方が大きく変わり つつあり,その行方は不透明な部分が多い。その中で分子研のあり方についてもよく検討し,次の体制,戦略を立て るべき時期にあると思う。

組織

岡崎統合バイオサイエンスセンターの発足により,明大寺と山手の両地区にまたがって分子研のアクティビティが 展開される形になった。さらに,新たな定員拡充が容易でない国の財政状況下で統合バイオセンターの発足がなされ た結果,自分の所属する系とは異なる系の主幹を併任するなどのいびつな構造をとることが余儀なくされている。こ の問題の解決の策として,分子研内に置かれた系・施設のあり方検討会では,現在の研究系を廃し,研究所の組織を 3から4の研究領域に大きく分け,研究領域はいくつかの研究部門と関連施設から構成する一方,明大寺,山手地区 にまたがる研究領域も作る計画が提案されている。定員の拡充が今後も見込めない現状を考えると,上記の案は大変 現実的な案と思う。更に細部をつめた検討を進めていただきたい。

分子研は自然科学研究機構の中に置かれた研究所として法人化がなされた結果,5研究所を束ねた機構の中での一 体的運営が求められることになった。しかし現実には,機構本部が置かれている東京神谷町と研究所が置かれている 三鷹,岡崎,土岐とは地理的にも離れており,相互の行き来には相当の時間を要する上,研究所間の研究分野,適切 な運営のあり方に大きな違いがあって,一体的運営が無理な点も多く,このままでは機構法人の実を挙げて行くのは むずかしいように思われる。分子研だけでは解決できない問題であるが,今後,よりゆるい研究所連合の形を目指し た機構の構造改革を目指して行くことが必要であろう。

人事

大変残念なことであるが,法人化とともに,運営費交付金の中の人件費が毎年 1% ずつ減額されていく仕掛けが導入 された。その結果,常勤教職員の数を毎年減少させていかなければならなくなり,この対応策を考える事が是非とも 必要となっている。競争的資金を導入して博士研究員などの任期付きポストを用意することでそれを補う考え方もあ るが,任期後のキャリアパスの設計が十分なされておらず,有能な研究者を博士研究員に迎えることがむずかしい状 況が顕在化しつつある。腰を据えて優れた研究成果を挙げてテニュア付のポジションに移っていく事を定着化させる には,多くの博士研究員のポストのような3年程度の短い任期ではなく,任期付きであっても最低5年以上の任期が あり,当初設定された任期後も2年程度の猶予が与えられるポジションが必要と思われる。分子研は以前から助手ポ ストについては,上記に近い運用をしてきているが,上述のように人件費削減とともに,この助手ポストについても 減少を避け得ない状況である。これを補うには,競争的資金の間接経費部分の一体的運用により,個々の競争的資金 にリンクした任期ではなく,研究所全体(ないし機構全体)で最低5年以上の任期を保証するポストを作っていくこ とが一つの方法かと思われる。

(2)

320 点検評価と課題 共同利用

国立大学及び大学共同利用機関の法人化により,各法人ごとに最適化する仕組みは導入されたが,各法人ごとでな く,国全体の学術進展の観点から最適化する仕組みも同時に導入すべきであったのに,それが十分なされていないの は,大きな問題である。制度設計の観点から言えば,後者については,大学共同利用機関法人がその役割を担うべき だと考えられ,大学共同利用機関法人は,共同利用について今まで以上に,配慮することが求められていると思う。分 子研は,UV S OR やスーパーコンピュータ等,一大学では整備,維持がむずかしい大型施設や,分子科学分野の先端的 研究機器を,全国の大学研究者の利用に供しているが,今後はそのようなハードウェアの共同利用だけではなく,日 本の分子科学の発展に必要な各種研究プロジェクトの提案,国際会議の主催などを率先して進め,法人ごとに閉じた 体制を横断する仕掛けを積極的に提案し,国に必要な予算を要求していく事が求められよう。

大学院教育

分子研は総合研究大学院大学の基盤研究機関と一つとして,大学院教育にも大きな努力をしてきた。分子研におけ る研究のアクティビティの高さに惹かれて,全国から優秀な大学院生が分子研に集まり,分子研において研究指導を 受け,博士の学位を得た後,多くの修了生が国内外の大学・研究機関において活躍している。平成17年度からは従来 の博士課程後期3年制から,博士課程前期も含む5年一貫制に移行したが,入学院生の数にややかげりが見られる。こ の傾向が平成17年度のみの事象であれば問題ないが,国立大学の法人化後,各大学が大学院生数の確保に走る傾向の あおりで,一度分子研の専攻に入学を決めた学生が,出身大学の指導教官の強い勧めにより,その大学の大学院への 進学に変えるなどの事例が出ていることを考慮すると,相当の努力をしなければ,来年度以降もこの傾向が続くおそ れがある。毎年若い優秀な学生が分子研の専攻に入学し,分子研で研鑽を積むことは,分子研の教員にとっても大変 良い刺激となりプラスになる点が多いので,定常的に大学院生が分子研に来るようにすべく,さまざまな努力をすべ きである。各大学の非常勤講師の要請を積極的に受け,学部学生に魅力的な授業をして,分子研の大学院専攻を目指 すようにリクルートすることも一つの方法であろう。分子研における最先端の研究のアクティビティを理解して,そ こで学位を取りたいと強く希望するには,場合によっては学部段階では無理かもしれないので,博士課程前期の入学 者だけでなく,博士課程後期からの編入学生が増えるようにすることも,もう一つの方法であろう。

以上思いつくままに,いくつかの提言をさせていただいたが,分子研のアクティビティの向上に役立てていただけ たら幸いである。

参照

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